ある舞台に向けオーディションを開いていた演出家のトマ(マチュー・アマルリック)のもとに、無名の女優ワンダ(エマニュエル・セニエ)が遅れてやってくる。ワンダに押し切られ彼女にもオーディションを受けさせることになるが、傲慢なトマはがさつで知性もなさそうな彼女のことを内心見下していた。しかしひとたび演技が始まると、台詞は完全に頭に入っており、役に対して深く理解している様子が見て取れた。先ほどまでとは打って変わって知性と気品を漂わせる彼女に惹きつけられていくトマ。オーディションが進むにつれワンダはますますトマを魅了し、二人の間の力関係は逆転。役を超えてトマ自身がワンダに支配されることに悦びを感じていく……。